今住んでいる家が傾いているかもしれない…
日常の生活の中で気になりだしたら、まずは簡単な自己診断が必要です。
自己診断の方法は、
- 1階の床の傾斜を確かめる。
ビー玉を何回か同じ場所に置き、転がり方を観察する。一定の方向に転がるようであれば、床の傾斜が考えられる。
- 窓・ドアの閉まり方がおかしい。
調整しても直らない。時間が経過すると再調整が必要となる場合は、窓・ドアの枠組みが建物の傾斜のため歪んでいる可能性が考えられる。
- 土間・基礎・壁に亀裂がある。
目視で確認できる範囲にある。
主に普段の生活で感じられる事で、どれか1つでもあれば不同沈下の可能性がありますが、まずは正確なレベル測定を定期的に行い、建物自体のレベルの変化を観察します。
定期的な建物レベルの測定値に想定誤差以外の変化が無い場合は、工作物の不具合が考えられます。修理・調整を完全に行うことにより問題は解決します。
定期的なレベル測定値に変化が見られる場合は、建物が何らかの理由により傾いている可能性が考えられます。地盤に傾きを発生させる要因がある場合は、要因の確認と対策を検討します。
ではここでは、実際に不同沈下を起こした家を沈下修正工事により修正した過程を写真と解説で順番に説明していきます。
■依頼先の家屋の調査を行います。主な内容は建物レベル調査および地盤調査です。
これらの調査を行い、周辺環境調査を行い、総合的に地盤の状態と建物の状態を掌握します。
← <外壁に確認された亀裂>
実際には外壁や基礎の目視では確認しずらい箇所に発生する可能性もあります。また、亀裂自体の発生要因が必ずしも建物の傾斜に起因するとは限りません。建物自体の材質や自然環境の影響により発生する場合もあります。地盤調査・周辺環境調査・レベル測定、これら全ての調査結果を総合的に分析・解析することが必要であり、特に長期間の継続調査が必要な場合もあります。
■総合的な判断により、地盤の影響により建物が傾いていると判断された場合は、有効な対策を考慮しなければなりません。
代表的な不同沈下建物の修復方法は、アンダーピニング・サイドピニング工法による沈下修正工事です。実際の施工手順を解説します。
<掘削して作られた床下搬入口> →
お住まいの方の障害を最小限にとどめるように掘削作業を行います。基本的にはお住まいの方は普段の生活を継続していただくことができます。しかし、作業は床下で連続して行われますので、お住まいの方のご理解とご協力が必要になります。
■基礎下に空間を確保し(同時に安全確保と周辺養生作業を行います)アンダーピニング工法(建物の重さの反力を利用して鋼管杭を地面に貫通させる)を行います。
これらの調査を行い、周辺環境調査を行い、総合的に地盤の状態と建物の状態を掌握します。
← <鋼管杭の押し込み後>
写真の上部に見える白い部分が基礎の下部分、茶色に見える部分は基礎の土の部分。ホースで繋がっているのが油圧ジャッキ。黒く見えるのが鋼管杭で銀色のインナー部分が伸びている状態。
建物の基礎形状や建物の傾斜を考慮した上で、必要な場所に鋼管杭を打ち込みます。地中の状態により鋼管杭の位置の変更や追加を行います。
← <建物の水平回復に必要な反力が確認されるまで打ち込みを行います>
← <最終調整(建物自体の沈下を手動ジャッキにより微調整します)>
← <建物の水平調整を行い、水平が確認された状態で鋼管杭と基礎部分を定着させます>
■以上で、鋼管杭の打ち込み作業と水平回復作業は終了です。引き続き、作業空間の埋め戻し作業を行います。
<セメント形固化剤> →
プラントでセメントミルクを製造します。
↓<セメントミルクを圧送により注入>
数回に分けて注入を行い、地盤の安定を図ります。

埋め戻しは数回に分けて行います。地盤の安定には多少の時間が必要です。すべての工事が行われた後も定期的に検査を行い、沈下修正工事終了の確認とします。定期検査は工事終了後、半年間から1年間の間に3回程度行う事が望ましいと思われます。
沈下修正工事には、お住まいの方のご協力とご理解が絶対に必要です。また沈下修正工事は途中で中止することは基本的にはできません。事前にお客様と充分な打ち合わせが必要です。工事内容の十分な説明を行い、ご理解をいただいた上で施工することが必要です。
■沈下修正工事は建物の水平回復が目的の工事です。建物の水平が回復することで建物自体が沈下以前の状態に戻る事はありません。イメージとしては、建物の一番高い基礎のレベルに合わせて、低い部分を持ち上げる工法です。これにより建物の外壁・基礎・土間などに確認されていた亀裂が元に戻ることはありません。建物が水平を回復した状態で安定が確認されたら、建物自体の不具合を修復することが必要です。